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遺産の使い込みに気づいたらどうする?
取り戻す方法についてもご紹介!
「いざ遺産分割をしようと思ったら、相続人の1人が遺産を使ってた」
「勝手に遺産を使い込むなんて、犯罪にはならないのかな」
遺産分割は、身内でおこなうこともあり、遺産を勝手に使い込まれるということも多いかもしれません。
そこで、このページでは、遺産の使い込みに気づいた場合について、使い込んだ人の責任や取り戻す方法と一緒に見ていきたいと思います。
1.遺産の使い込みの例
遺産の使い込みの例としては、以下のようなことがあります。
- 被相続人の銀行口座から自分の口座に送金する
- 被相続人の証券口座から株式を売却して出金する
- 被相続人が被保険者になっている生命保険を解約して払戻金を受け取る
- 相続不動産を売却して代金を得る
- 相続不動産の賃料を自分の口座に振り込んでもらう
2.使い込んだ人の責任
(1)刑事上の責任
他人の財産を自分のものにしたり、本人しかできないようなことをしたりすると、通常は、窃盗罪(刑法235条)や不動産侵奪罪(刑法252条の2)、横領罪(刑法252条1項)などに該当します。
遺産の使い込みも、窃盗罪や不動産侵奪罪、横領罪などに当たりうる行為ですが、親族の間の特例で、相続人の場合は免除されることになります。
刑の免除であっても有罪判決となります(刑事訴訟法334条)が、初めから免除されることがわかっている罪について捜査がおこなわれることはまれで、刑事上の責任が問われることは通常ありません。
(2)民事上の責任
遺産の使い込みは、通常刑事上の責任は問えませんが、民事上の責任は発生します。
1つは、不当利得返還義務(民法703条、704条)です。
遺産が分割されていない状態で勝手に使い込むと、他の相続人の財産を理由なく自分のものにした(不当利得)ということになり、それを返す必要があります。
2つ目は、不法行為による損害賠償義務(民法709条)です。
遺産が分割されていない状態で勝手に使い込むことは、他人の権利や利益を侵害している(不法行為)ということになり、損害を賠償する必要があります。
3.使い込まれた遺産を取り戻すには
使い込まれた遺産を取り戻すために、話し合って解決できればそれが最適です。
ただし、話合いでの解決が期待できないようであれば、不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償請求について、裁判を起こしていくことになるでしょう。
4.注意点
使い込まれた遺産を取り返す権利には、不当利得返還請求で5年または10年、不法行為による損害賠償請求で3年、といった時効があります。
実際に使い込まれてから時間が経っているという場合は、時効によって請求できなくなってしまわないように、できるだけ早めに弁護士に相談することをオススメします。
5.まとめ
- 被相続人の遺産を勝手に自分のものにすると、遺産の使い込みになる。
- 遺産の使い込みは民事上の責任が生じ、裁判で請求することもできる。
- 請求権には時効があるため、早めに弁護士に相談するのがオススメ。
「遺産が使い込みに気づいてしばらく放置してたから、急いで対応してほしい」
「話合いで返してもらえてないけど、まだ時間が経ってないから裁判できるかな」
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また、ご要望を伺いながら、遺産の使い込みを取り戻せるよう全力で尽力いたします。
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